コラム記事 #60
子どもの個性を尊重することの大切さ ― 思いに寄り添うために何をする?
神戸イングリッシュアカデミー(KEA)では、皆さんの子育てが少しでも豊かになるよう、「子育てのちょっと困ったこと」について、共に考える機会を設けています。
当ブログでは、保護者様から実際にいただいた質問に、対処のコツや子どもの見方のコツを解説して参ります。毎日の子育てに是非お役立てください!
Ms.Carnell 以下(C)KEA 校長
Ms.Eto 以下(E) KEAプログラムコーディネーター
今日のテーマは、「子どもの個性を尊重することの大切さ」です。
C)
今回のテーマは「一人ひとりの個性を尊重することの大切さ」です。
E)
はい、よろしくお願いいたします!
最近、子育て中の保護者様から、「子どもの気持ちを大切にしたい」「子どもを尊重した子育てに向かいたい」という声を、よく伺います。
今まで以上に、一人ひとりの子どもを尊重することが、重視されてきているのかもしれません。
家庭のみならず、保育所や幼稚園、認定こども園でも、「子ども主体の保育」を行うために、先生方が工夫を重ねられたり、研修を行ったり…。子ども主体の保育というのは、一人ひとりの子どもの気持ちを尊重し、子どもの「やってみたい!」と思う気持ちを大切にしていく保育・教育のことを言います。多様性が大切にされる時代、新しい発想が求められる時代には、とても重要なことだと感じます。
しかし、これ…、言うのは簡単ですが、実際に行うのはとても大変なことなんですよね。
本日は、子どもたちが集団で過ごすスクールでは、先生方はどのようにして「一人ひとりの個性を尊重しているのか」、その具体的取組について、お話を伺っていきたいと思います。
きっと家庭での子育てに役立てることができるヒントが見つかると思います。
KEAでは、丁寧さをとても重視しています
E)
では、早速ですが、KEAでは、どのようにして「一人ひとりの子どもに寄り添っているか」、お話を伺えますか。
C)
KEAでは、丁寧さをとても重視しています。一人ひとりに寄り添うためには、周りの大人の「丁寧な関わり方」が、やはり基本なのかと…。
「丁寧=過干渉や過保護」ということではありません。適切な関わりや声掛け、過ごす場所が心理的安心を得られる環境であることがまず大切です。
不安で萎縮している状況では、子どもは吸収することは出来ないですよね。
自分の気持ちを安心して表現できる状態をつくるために、まずは「丁寧に関わり」、あなたはあなたのままでいいよ、と一人ひとりを受け入れるようにしています。
また、先生方も自由に自分を表現しそれを体現して見せていますね。大人が肩肘はっていると、子どもにも伝染してしまう。大人の「あり方」から、「みんな違ってみんないい」というメッセージが伝わるような、そんな環境を作っています。
そのような環境の中で過ごすことで、子どもは「殻を割って」本来の姿を見せてくれるようになります。
また、例えば、お友達同士で気に入らないことがあって衝突したとき、こんな時は、「一人ひとりに寄り添う」チャンスでもあります。
「仲良くしないとだめでしょ、ごめんなさいって謝って」
と、そこだけを切り取り、お互いにSorryと言わせて終わることは簡単ですが、
KEAの先生方は、そのような対応はしません。
そういった場面では、子ども達にお互いの言い分を聞いて、どうしたら良かったのか、お友達はどのような気持ちだったと思うのか…と対話をしています。
たいへん時間もエネルギーも使うことですが、そうすることで、一人ひとりに寄り添うことができ、ひとつひとつが学びになっていきます。
自分の使いたい言語でしっかり伝えられるような環境を整える
C)
そして、前回のブログでもお伝えした通り、KEAでは、日本語を禁止していないんですね。(10月の1回目のブログのリンク)
“No Japanese”と言われる環境では、子ども達は、実際の心の内を正確に話すことがまだできないかもしれない。それが理由で、Sorryと謝らざるを得なかったとしたら…。そこには、ネガティブな気持ちが残ってしまいます。心に寄り添ってもらえなかったという経験です。
ですから、どんな気持ちであれ、自分の使いたい言語でしっかり伝えられるような環境を整え、そして、大人は耳を傾けていく。
これがKEAで、子どもを尊重するために行っている取り組みです。
子どもは一人ひとり個性が異なります。出来ること出来ないこと、これまでの経験、生まれ持った性格、成長するスピード、ご家庭の環境も、全部違います。
KEAは小さなスクールですので、担任の先生だけでなく、オフィスのスタッフ等、関係する全ての大人が、一人ひとりの子どもを見て、観察して、声をかける環境が整っています。そんな取り組みも、子ども一人ひとりを尊重して、寄り添う営みにつながっているのかなと思います。
また、ご家庭は子ども達にとっても大きな影響があります。お家での時間がより良い環境になるよう、こういったペアレンティングなどで、保護者の方の学びの機会を作ったり、ご心配事に寄り添うことにも、先生方が気配りをして下さっています。
E)
ありがとうございます。
子どもの周囲の大人がつながりあっていくことで、より一人に向けられる目が増える。それこそが、一人ひとりに寄り添う環境を実現できるきっかけになるのだなと感じました。
たくさんの工夫点を共有くださりありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。ご家庭でも取り入れられる工夫はありましたか?
丁寧に関わっていく。現実的には難しいことだと思いますが、可愛い子どもの姿をもう少し見よう!と思えば、結果として丁寧な関わりを手にしているかもしれません。
大人も自己発揮をすることで、子どもも自由に振る舞えることができるようになる。寄り添ってもらっているということに、つながりそうですね。
また、子育てがうまくいかない場面は、子どもの気持ちを尊重するチャンスかもしれません。「今こそ子どもの内なる気持ちを聴いてみよう!」と、関わってみてください。
忙しい日々、スキマ時間さえないほどの日常と思いますが、なにか面白そうだなと思うことがありましたら、是非、試してみていただければと思います。
動画はこちら
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記事執筆
江藤真規
https://saita-coordination.com/