変化する社会、変化する教育 幼児期の教育に私たちはどう向き合えばいいの?
大きく変化する社会、子ども達の育ちの環境も激変しています。
学校の選択肢も広がり、今や公立、私立に加えて、インターナショナルスクールに、留学まで。
子どもの教育のために移住するという話も、珍しいことではなくなってきている様子です。
人生の基盤となりうる幼児期の教育。過渡期にある今という時代には、一体どんなことを意識して、子どもと向き合っていけばいいのか、
Ms.Carnell, Ms.Horikawa, Aikaと考えてみました。
以下、Ms.Eto E), Ms.Horikawa H), Aika A)、Ms.Carnell C)
幼児期の教育について
E)それでは、今日は幼児期の教育について、自由に議論していきましょう!
幼児期の教育すごく今変わってきていますね。
インターナショナルプリスクールやバイリンガルスクール、これは圧倒的に増えてきていますね。
私は東京なんですけど、例えば世田谷区、ここではスターバックスの数よりもインターナショナルプリスクールやバイリンガルスクールの数の方が多いとか?とにかく、急激に増えてきています。幼稚園や保育園で、英語のレッスンを取り入れているところも激増。
幼児期の子どもたちが英語に接する機会は10年ほど前と比較すると、驚くほど増えていると言っても過言ではないと思います。
では、何でこんなに増えていくのかなーと考えた時に私はなんか2つの理由があるのかなと思うんです。
まず、一つ目の理由は、やはり保護者様の意識が変わってきたということ。
わが子には、日本だけではなく世界を舞台に、自分らしく生きていって欲しいと願うようになってきているということ。こういう願いが高まってきていることがあると思います。
2つ目の理由は、幼児期の教育というのがすごく重要であるという認知が広がったこと。
例えば、教育経済学におけるデータから読み解くと、幼児期の教育は最も投資効果が高いなどとも言われていますよね。こういったことが広まるにつれ、幼児期の子どもの教育環境を選びたいというご家庭が増え、その市場の広がりに合わせて、スクールの数も増えてきている、こんなことが言えるのだと思います。
とにかく、今はいろいろある。しかし、同じバイリンガルスクールといっても、学校の方針や実際に行っている授業内容には、大きな違いがあったりするので、やはり選ぶ側のご家庭は、しっかりと見て、わが子にあったスクールを「選ぶ」ことが必要ですよね。
ちなみに、KEAはどういう方針でどんな授業を展開しているのですか?
C) やはり、インターナショナルスクールやバイリンガルスクールといったスクールへのニーズが増えているのは、私たちもとても強く実感しています。
ただ、日本という環境で生まれ育っている子どもたちに、完全に英語だけの環境で教育するということに関しては、私たちは慎重に考えているんです。
将来は海外に出ていくことが決定していたり、家庭では英語が使われていたりといった環境にあるお子様は別として、両親とも日本人、小学校以降の教育も日本の公教育に…とお考えのご家庭にとっては、
母語である日本語を使えるようになることや、日本の文化を知ること、更にはしつけや協調性等、日本の教育に散りばめられている大切な考え方に触れていくことも、とても重要と考えているんです。
ですから、私たちのスクールは、海外のスクールをそのままもってきて授業展開をするのではなく、つまり、日本の教育を一切行わないという発想ではなく、日本語を含め、日本の教育の良き部分を基盤とし、その上に英語教育というものを積み重ねる、そんな発想でスクール運営を行っています。
本当に大事な人間の土台作りという面では、日本の幼児教育は本当にすごく丁寧ですし、そこを実際に通われていらっしゃるご家庭も大切にしておられるので…。
英語ができることがグローバル人材ということではない。
E) 英語ができることがグローバル人材ということではないという…
C)そうです。英語はもちろん行うのですが、そこだけに注力するのではなく、人間の基盤自体をしっかり育てていくことに、とにかく意識を向けています。
実は私、グローバルっていう言葉は、あんまり好きではないんですね。英語はもう当たり前と思っていますし、その当たり前というのは、違う国の人と生活したり仕事をしたり、または同じ学校に行ったりってことも、もう当たり前の時代になってきますよね。
つまり、これからはもう、普通の生活がグローバルなので、今これからの社会にしっかりと対応していける子どもを育てる、それが大切なんだと思うんです。
E) 本当ですね。グローバルとは特別なことではなく、子どもたちにとっての生きる力を育てることの中に、英語も入ってくる・・・。この考え方はとても大切だと、私も思います。
それにしても、子どもたちは上手に言語を使い分けていますね。家では日本語、スクールでは英語、スクールの中でもIBL(探求学習)の授業になると日本語と…。
子ども達がどんな風に切り替えているのか、少しお話を伺えますか?
H) アフタークラスで子どもたちを見ていると、スクールに入った瞬間から、多分日本語で喋りたいという気持ちはあるんでしょうが、意識が英語になるみたいですね。
そして、特にネイティブの先生ががたくさん声をかけることで、子どもたちからスムーズに英語が聞こえてくるようになります。
スクールという環境と、英語を話かけられるという行為が、スイッチを切り替えているんだと思います。私ももちろん、英語で語りかけます。
子どもは、私が日本語を使えることは知っているのでしょうが、英語で返してきますよ。スイッチの切替えはお見事です。
話せないからと落ち込んだりする子はいない
E) アフタースクールの子ども達は、日中は日本語環境で過ごしているのに、すごいことですね。よく見ているし、感じとっているし。そして、きっと先生とコミュニケーションを取りたいという気持ちも強いのでしょうね。
しかし、子どもによってレベルも様々。話せないからと落ち込んだりする子はいないのですか?
H) おそらく、伝わらないって難しさを感じるより、単語一つでも伝わったという喜びの方が大きかったりするんですかね。落ち込んでいる様子は、ほとんど見かけないです。
そこは子どもの強みかもしれませんね。正しさにこだわるより、単語一つでもわかったら、それはgood jobであって。それを繰り返すうちに二語になったり、文章になったりと、そんな風に楽しく成長していると感じます。
E) そこに幼児期の子どもの強みがありますね。大人になると「できていないこと」ばかりが気になってしまって…。
なので、幼児期の子どもの教育環境が広がることは、やはり素敵なことですね。親の方が焦ったり、できていないことに注目したりしなければ、この時期の子どもはぐんぐん伸びていく様子が伝わってきました。
そして、もう一点伺いたいことがあります。
今、一人ひとりの個性を大切にするとか、子ども主体の大切さなどが言われていますが、KEAでも一人ひとりの興味関心を大切にする教育を展開していると伺っています。
特に、IBLの授業では、子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にしていると思いますが、実際にはどんなことに注意して、どのように授業展開をしているのか教えてもらえますか。
A) 先日雨が降って外に行けないパークの時間があったんですね。で、その時にK1からK3の3学年を縦割りの3つのチームに分けて、
「何のおもちゃで遊ぶかとか、どんな遊びをするかっていうのを自分たちで決めてごらん」
ってしてみたんです。私たちはあえて何も言わない、見て聞いているだけという風に。
いつもだったら、先生が前に立っているので、ちょっと難しいかなと思っていたのですが、思った以上にできてしまって。
K3の生徒達が、
「じゃあ、はい、これとこれとこれがあります。何をやりたいか、手をあげてください。皆で決めていこう」とか、うまく全員の意見を引き出しながら、どう過ごすかを決めていっていて。
K1さんの中には、思うようにならなくて、ちょっとすねていた子もいたんですが、最終的には納得した様子で。で、最後には何をして遊ぶか、3つのチームともに決めることができていて、なんかこの子たちすごく育っているなと感動しました。私自身の想像も超えていたほどで。
E) 子ども達を信じて任せ、そして見守っていたのですね。勇気がいることですが、任せてみたら子どもたちはやってのけた。素晴らしいことですね。
あと、思うようにならない経験をすることも大事ですよね。異学年と過ごす中で、そういったことを体験できることもすごく大きな成長になりますね。子ども同志で何とかしていく経験、素晴らしいことです。
子どもに任せると、何とかしていく
H) アフタークラスでも、この間子ども同志で何とかしていた場面が見れました。
異学年の子どもが集まってゲームをしていたんですが、仲良く遊べない。その理由は、一人の子どもに、「どうしても勝ちたい」という思いが強くあって。
で、その子が勝てない雰囲気になると、うまく行かなくなってしまうんですよ。
最初は私に、その子に対する文句や、「どうしたらいいのか」と言いに来ていたんですが、私の方で「どうしたらいいんだろうね。皆で考えてみようか」とふってみたんです。
そしたら、子ども同志で話あいが始まって、最初は泣く子とか、怒る子がいたりしたんですけど、一人の子が途中で「ごめんね」と言ったんですね(私は影で聞いていたんですけど)。
そしたら、別の誰かが、「なんでごめんねっていうの?」ということを言い出して、「それを言わないとわからないよ」という話になり…。その後子ども達で、いろいろ話をしていて、最終的には私に報告にきたんです。
って。子どもに任せると、何とかしていくということを、改めて感じることができた経験でした。
E) 子どもってすごい力を持っていますね。そして、周囲の大人が信じて見守る、適切なタイミングで言葉をかけることが、子どもの力をぐんと伸ばしていくこと、先生方のお話から掴むことができました。
本日は幼児期の子どもとどう関わればいいのか、過渡期にある今、どんなところに意識を向ければいいかについて、お話を伺ってきました。
子ども達が環境に合わせてぐんぐん成長している様子、そして、大人が子どもから学ぶことも多いという気づきもありました。子ども達の存在によって、大人も成長しているのかもしれませんね。
ありがとうございました。
記事執筆
江藤真規
https://saita-coordination.com/