コラム記事 #68
『考える』より『対話』する -幼児期に育てたい学びの土台
これからの時代、子どもたちにどのような力を育んでいきたいでしょうか。
KEAでは、英語や知識を身につけることだけでなく、自ら問いを持ち、考え、挑戦し、学び続ける力を育むことを大切にしています。
幼児期は、そうした力の基礎となる「学びの土台」を育む大切な時期です。
今回は、その土台づくりに欠かせない、大人と子どもの「対話」について考えてみたいと思います。
幼児期は、さまざまな力が育つ大切な時期
ひらがなや数字、習い事など、子どもの学びが気になる保護者の方も多いことでしょう。
しかし、この時期に大切なのは、できることを急いで増やすよりも、これからの「学びの土台」をつくること。
子ども自身が「面白い!」「不思議!」と感じ、自ら考えたり、挑戦したりする経験を重ねることが重要です。
そのためのきっかけとなるのが、親子の「対話」です。

「できた!」だけではない大切な力
「上手に書けた」 「たくさん覚えた」 子どもが何かをできるようになったとき、
私たちはつい結果に注目しがちです。
しかし「結果」以上に目を向け、伝えていきたいのは、「どのように」取り組んでいるか、その姿勢です。
- 「自分で決めたんだね」
- 「楽しくなるように工夫していたね」
- 「最後まであきらめずに頑張ったね」
自分の頑張りに親が気づいてくれたという喜びが、子どもの自信や意欲を育てます。
見てくれているという安心感が、自分を信じる力や挑戦心等、
目には見えにくい「非認知能力」の育みにつながっていきます。
学びの土台となる力です。
時間も費用もかからない「対話」
もう一つ、子どもの学びの土台づくりに機能するのが、親子の「対話」です。
「対話」とは、同じ絵をイメージしながら行う、言葉のキャッチボールのこと。
まとまった時間がなくても、費用をかけずとも、「質問」を上手に使うことで、
いつでもどこでも出来てしまいます。
例えば、
親 「今日は雨だったね」
子 「雨だから外で遊べなかったよ」
親 「残念だったね。雨の日は何をして遊ぶと楽しいかな?」
子 「お部屋でお店屋さん!」
親 「いいね!どんなお店にしたい?」
子 「アイスクリーム屋さん!」
親 「どんなアイスがあったら人気が出ると思う?」
対話を続けることで、子どもは自分の取り組みを振り返り、考え、
言葉にする経験を積んでいきます。
その積み重ねは、自己理解力や主体性など、「非認知能力」を育むことにもつながります。
いずれも学びの土台となる力です。対話をつなぐ質問のポイントは、
- 「深掘り」するイメージを持つこと
- 子どもの意見・考えを聞いてみること
- 「もしも」も利用して、想像上のことも聞いてみること。
もちろん、子どもが答えたくない時には、「そうか、わからないんだね」と
「わからない」という子どもの気持ちを尊重しましょう。

対話を豊かにする3つのポイント
大切なのは、親が一方的に話すのではなく、言葉のキャッチボールを親子で楽しむことです。
① 子どもの言葉をまず受け止める
「つまらなかった」「嫌だった」など、親にとって望ましくない言葉も、
まずは「そうだったんだね」と受け止めましょう。
安心して話せることが対話の出発点です。
② 子どもの興味に合わせる
親が聞きたいことより、子どもが話したいことに関心を向けましょう。
子どもの見ている世界を一緒に楽しむ姿勢が大切です。
③ 答えを急がず、待つ
質問をした後、すぐに答えが返ってこなくても大丈夫。
子どもが自分の言葉を探す時間も大切にしましょう。
今日からできる、小さな工夫
心と行動は往還します。
まずは「面白そうだな」と思ったことを一つだけ試してみませんか。
- 食事中に、テーマを決めて対話をする
- お風呂や移動中など、横並びの時間を対話時間にする
- 寝る前に、今日楽しかったことを振り返る
何より大切なのは、対話を通して、子どもが「自分は大切にされている」と感じること。
対話は学びの土台となるばかりでなく
親子の絆をより一層強める機会にもなることでしょう。
記事執筆
KEAプログラムコーディネーター
江藤真規
株式会社サイタコーディネーション代表取締役
クロワール幼児教室主宰
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人民際センター評議員
https://saita-coordination.com/